ヴィジュアル系音源レビューという名目の戯れ言。

ヴィジュアル系、又はそれらと親和性の高い音楽CDの出来損ないレビューです。失礼なことも敢えて平気で書きますが完全に小僧の戯れ言なので気にしないで頂けたら幸いです。

BLUE VICES/DEAD END

1988年12月16日に発売された
1枚目のシングル。

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評価
★★★★…特別大好きな曲で特にオススメしたい曲。
★★★…好きな曲でオススメしたい。
★★…個人的に普通。悪くないよね!くらい。
★…正直自分はあまり良さを見出だせない苦手な曲。


1 BLUE VICES
…★★★☆
メジャーデビュー作品「shambara」をリリース後、ドロップされたシングル曲。
さて、DEAD ENDと言えば1984年に結成された"元祖ヴィジュアル系"、"ヴィジュアル界の裏ボス"と語られることも少なくない絶対的なカリスマ性を持った存在でございます。
BUCK-TICKX JAPANLUNA SEA、そしてそれ以降のヴィジュアル系バンドに多大なる影響を与えた伝説のバンドです。

従来の海外から伝わるメタルやハードロックに、日本由来の耽美さとダークさを融合させ、独自の世界観と音楽性を確立していた彼らですが、このシングルはそれまでの音楽性と、後にキャッチーなアルバムをリリースするまでの過渡期となっております。

キーボードのような電子的な音色で奏でる、印象的なギターフレーズでスタートするこの楽曲。
割りとゆったりめなミディアムロックナンバーです。
その独特なギターフレーズを軸として、大きな盛り上がりを敢えて作らず淡々と進んでいくのですが、メロディが聴きやすいお陰か不思議と退屈に感じる事はないのですよね。

広大な草原、はたまた海や空。
そういった大きさを感じる広がりのある音像とスケール感を持った楽曲で、この1曲を聴くだけで彼らがこの時点でいかに大物の風格を纏っていたかが分かる…。

そして何より記述しておきたいのが秀逸なBメロ部分。
美しいファルセットを混じえた浮遊感のある耽美なメロディライン。
この空気感は後にヴィジュアル系に受け継がれ、ある種スタンダードになっていくのですが、もう既にこの時代からそれを誰の模範でも無くオリジナルとして確立しているのだから天才としか言いようがないですよ。

時代を越えて日本の音楽史に刻むべきだろう曲、DEAD ENDには沢山ありますよね。

デビュー後1枚目のシングルの割にはあまりスポットの当たらないイメージがありますが、是非とも聴いてみてほしいですね。


2 WIRE DANCER
…★★★☆
エフェクトが掛かったMORRIEのボーカルフレーズのリフレインから始まる、疾走感のある爽やかなロックナンバー。
冒頭の始まりが70~80年代くらいの海外のディスコや、ニューロマンティックからの影響を感じますね。
この曲も1曲目同様、ポップでキャッチーな歌メロと解放感のあるキレイなサウンドなのですが、爽やかさと分かりやすさではこっちに軍配が上がるかな。
ただ、分かりやすいという言葉を所謂シンプルといった意味合いでこの曲に使用する事は限りなくナンセンス。

Aメロ→Bメロ→Aメロ と来てそのままBメロが来ると思いきや、そのままサビへ突入!( ゚Д゚)
Bメロは一度しか登場しない楽曲構成なのです。

それだけで従来のロックや歌謡曲とは一線を画してますよね(笑)

しかも一度きりにするには勿体ないくらい格好いいセクションなんです…。

この曲も晴れ渡る大空を感じさせるスケール感があるように感じます。
いかにもな壮大な楽曲を制作しようという意図は全く無い筈ですし、サウンド面の演出も決して過剰ではない。
それなのに、この広がりと大きさは何処からきてるのでしょうかね。

そして何より僕が驚いたのはラストのMORRIEロングトーン
伸びやかなロングトーンから、そのままシャウトへと移り変わるのですが、これが格好いいなんて半端な言葉じゃ表せませんよ。
この時代に既にこのシャウトの出し方をしているなんて…。
そう。後のヴィジュアル系のスタンダードとなった、所謂ヴィジュアルシャウトの原点なんですよね。

何処までヴィジュアル系に影響を与えたカリスマなんだろうって恐ろしくなりますよ。


総評
表題曲はオリジナルアルバム未収録、そしてカップリングはこのシングル作品でしか聴けないレアな楽曲です。
ですがシングルは今ではプレミア価が付いていて、値段が沸騰した現在で手に入れるのは少々気が引けるでしょう。
なのでこの2曲を聴きたいのなら、2009年に発売されボーナストラックとして2曲が収録された「shámbara[+2]」を購入することをオススメします。

改めて書きますとこのシングルが発表されたのは1988年。
どうしてもリリースが古くなった作品に触れる事に、なかなか腰が上がらない人も少なくないでしょう。

でも、自分の好きなアーティストのルーツや、影響を受けた人物や作品を知るのって純粋に楽しくないですか?
そこを知った上で、再び好きなアーティストを聴いたときに新しい発見があったり、そのアーティストが表現したかったことを深く理解できるきっかけになったりするものです。

そういった意味では、ヴィジュアル界の中でDEAD END以上に各バンドのルーツとして影響を与えたバンドはいないのではないでしょうか。

かの有名なLUNA SEAやL'Arc~en~Ciel、そして黒夢Janne Da Arc
その他にも書ききれない程に影響を受けたヴィジュアル系バンドが沢山存在します。

もしかすると貴方の好きなバンドのルーツを辿ったときに、彼らの名前を目にする事になるかもしれません。


総合点79点。
★★☆…歴史を知る中で手にいれたい盤。